心づく徳島
正直な話をしますと私は妻と出会うまで、徳島という街をよく知りませんでした。
そんな妻と学生の頃に知り合い、初めて徳島を訪れた時のことは今でも鮮明に覚えています。
当時、妻は阿波踊りの踊り手で、私に「阿波踊りを見せたい」と私を徳島に呼んでくれました。そこで初めて見た阿波踊りは正に「感動」という他ありませんでした。祭りの規模、活気、そして何より老若男女が一つのグループとなって美しい演舞を作り上げている姿に自然と涙が溢れてきました。それから毎年お盆は徳島で過ごすようになり、多くの徳島の方々と知り合い、素晴らしい時間と仲間を得ることができました。
しかし、そんな中で知り合った多くの方々から「徳島には何もない」と言葉をよく耳にするようになりました。
阿波踊りという日本を代表するスーパーコンテンツがあるのに?
世界にも名を轟かせるアニメを製作したアニメスタジオがあるのに?
「おせったい」という人をもてなしたい、応援したいという素晴らしい文化があるのに?
長年観光業に携わり、コンテンツの力、ブランド、そして何より心のこもったサービスというものがどれほど大事で、またそういった物を作り上げることがどれだけ大変かを知った人間からすると、なんと贅沢で勿体無いことを言うのだろうと不思議に思っていました。
お遍路のような「心づくり」の旅に間近で接し、その見知らぬ旅人に「心をつくし」応援する、そんな徳島の魅力に市民が「心づく」ことで「徳島には何もない」ではなく「徳島にはあれもある、これもある」と言ってもらえるような街にしていきたいと思います。